着いたスタジオみたいな所は薄暗く、煙草臭い臭いが鼻についた。


初めて入る場所に緊張していると零が近くにあった、古びて変色した布のソファを指差した。


「そこ、座ってるといいよ!」

あたしがソファに座ると、ここのマスターだという髭をはやしたおじさんが、声を描けてきた。


「お嬢ちゃん、初めてかな?何しろこいつは女の子はまず入れないからな」

零の顔を見て笑った。

「そう…ですか…」

あたしも照れて笑った。

「川村さーん!」

零がおじさんにしかめっ面で言う。

「ふぁっふぁっふぁ…」

川村さんと呼ばれたおじさんは面白い笑い声を残し、奥へ消えた。





「おはよーっす!」

ドアが開いて、背の高い体格のいい男の人が入ってきた。

零は黙って手を挙げた。


「おっ!零、珍しい。今日はゲスト付きなんだ?」

「まぁな」

「すみません。お邪魔しちゃって…」

あたしはその人に言うと、申し訳なさそうに肩を竦めた。