「……学校…いきたくないな…」


気付くとあたしはそう口走っていた。


騒がしさもあって、零は聞き取れなかったようで

「え?なに?」

と聞き返した。


「いやっ!な、なんでもない…」


「なんでもなくないでしょ?なんか今日おかしいもん。どうした?」


(そんなにおかしいのかな…なんでわかっちゃうの?)


あたしはもう一度言った。

「学校行きたくないなって…」

「友達と何かあったの?」

「そうじゃないんだけど…」





「ねぇ、京奈ちゃん!
だったら今から俺達のバンドの練習、見に来る?」


突然零が言った。

決めるなら今だった。



何故ならば、もうすぐそこで地下鉄とバスターミナルへと

左右に別れなければならなかったから…





「いいの?」

遠慮がちに尋ねると

「じゃ、決まりね!」


零はバスターミナルの方へ向かう。

つられてあたしも一緒に歩いた。