無言のまま電車に乗って帰る。


もうすぐあたしの降りる駅…

このままの雰囲気じゃ、心残りだったあたしは

なんとか笑顔を取り戻した。



「今日はホントにありがと!家に帰って中見るの楽しみ〜☆」


「ガッカリさせるかもよ。気に入らなかったらごめんね」


「うぅん、気持ちだけで嬉しい!

さっきは泣いたりしてごめんね?」


あたしはにっこり笑った。


零は、照れながらおでこをポリポリと掻きながら、苦笑いをした。



「まもなく〜間山〜間山〜」

車掌さんがあたしの降りる駅をアナウンスしている。


あたしが席を立ち上がろうとすると


「京奈ちゃん!」

零が呼び止めた。


「ん?」


「あ、いやなんでもないや…ありがとうね」


「帰る間際にずるいし〜!」


「ごめんごめん、ありがとうって思ったから」


「ありがとうはあたしだし」



そう言って、あたしはドアが開くのを待ち、電車から降りた。


ずっとずっと

零が見えなくなるまで

電車を見送った。