Marvelous mercenary-マーヴェラス・マーセナリィ-

「ベリル!」

 呼び止めにも応じないベリルに眉を寄せ、震える足で駆け出した。思っていたよりも彼の足は速く、なんとか回り込んで立ち止まる。

「一人で勝手に終わらせないで」

「お前の希望には、応えられないと解っているのにか」

 その言葉に、ビクリと体を強ばらせた。どれほど長い時間を費やそうとも、その先にある結末は見えている。

 わたしは、この人と同じ世界にいることは出来ない。解っている。けれど、このまま二度と会えないなんて、心が引き裂かれる想いだ。

 ベリルは、どうしていいか解らずに涙を浮かべ、服をつまんで離さないミレアをしばらく見下ろして、おもむろに顔を近づけた。

「っ!」

 少女は頬にかかる金の髪と、重なる唇に目を見開く。鼓動は早鐘を打ち、暖かな感触に目を閉じた。

「記憶に残るだけで良い」

 息がかかるほどの距離に顔を赤らめながら、その心地よい声の余韻に浸る。