ミレアはそれがどうにも切なくて、慕いつつも、血なまぐさい一面が垣間見えたときは目を反らし知らない振りをしていた。

 誰かが戦わなければならない世界を感じる事のなかった少女には、ベリルたちの存在は信じ切れるものではないのだろう。

 兵士がいるという事をただの知識として知っていることと、それを実感しなければならない事には大きな隔たりがある。

 ミレアはそれに戸惑いながらも、気さくに話しかけてくれる傭兵たちを受け入れて信じようとしていた。

「闘いが嫌だとは言わない。好む部分も確かにある。だが、人を殺める事に関しては、違うと言える」

 奴と同じではない。

「人を殺めて楽しむ趣味は、さすがの私にもないよ」

 戦いで湧き上がる高揚感を否定はしない。けれども、流される血に悦びを感じる事はない。