長く続いていた統率者の血筋に疑問を持ち、その下にい続ける事に不満を募らせた結果だ。
力が彼らの心を変えてしまったのかもしれない。
優しい心を持っていたからこそ授かった力のはずが、与えられた力はいつしか優しさを消し去ってしまった。
民のためにと使っていた力は、いつしか戦うために使われ、多くの血が流されていった。民はそれぞれ支持する者に集まり、大陸は分断されて反乱が巻き起こる。
「もちろん。俺の一族のように、統率者の血筋を護り続けた一族もいくつかいた」
争い、裏切り、蹴落とし──統率者は臣下たちや民のそんな姿に、どれほど嘆いたことだろうか。
自分がその地位を降りたとしても、争いが治まる事はないだろう。せめて、家族だけは守り抜きたいと、どうにか争いを治めるべく努め続けた。