寒々しい部屋のベッドの中、シーツの隙間を縫って入ってくる空気が、あらわにされた肌を撫でた。


それが嫌で身をよじると、あたしの上に乗っている男は、まるで気付いているとばかりに、さらに体を密着させてくる。


塞がれる唇。



「俺、アンナのそういう顔が一番好き。」


あたしは今、どういう顔をしていたのだろう。


けれど考えるのも馬鹿らしくて、肩をすくめて彼の体を押し退けた。



「んだよ、無視か!」


なんて言いながらも笑う男の顔は、暗がりな中でもやっぱり目鼻立ちが整っている。


そこがまたムカつくのだけれど。



「優心に口説かれたってあたしは嬉しくなんかないのー。」


情事を終えて、すっかり冷静になってしまった思考では、何ひとつ感情が揺らぐことはない。


だってぶっちゃけると、あたし達はただのセフレ。


体を繋ぐだけの関係においては、そこに愛も恋も必要なんてないのだから。


つまんねぇなぁ、と言いながら不貞腐れた様子の優心は、体を起して煙草を咥える。



「ごめん、帰るね。」


言って、ベッドから抜け出ようとした時、掴まれたのは、あたしの腕。



「アイツのいる部屋に帰るんだ?」


まるで確認めいた聞き方で問う優心の瞳が真っ直ぐに向けられ、直視なんて出来るはずもなく、目を逸らした。


馬鹿なのは、あたしの方。



「これ以上報われない想いに苦しむなら、もうやめとけば?」