893〜ヤクザ〜

【テキ屋】


わしは正直、以前からテキ屋には興味があった。

祭で見るテキ屋の兄ちゃんにむちゃむちゃ憧れていたし、何よりわしはタコ焼きが大好物やった。



テキ屋の兄ちゃんは女の子にモテるし、大好きなタコ焼きも食い放題やし、金だってもらえる訳で……。

朝昼夜でタコ焼き……



(♪♪♪♪♪)



なので少々不安はあったが、一度だけならと行く事を決意したんや。



これが、わしの極道人生の第一歩となった。



翌朝、わしは約束通りバイクで事務所に向かった。



地元では有名な組やったんで、事務所の場所は知っとった。



バイクを停め、小汚い玄関の前に立ち、上を見上げるとそこには防犯カメラと゛明らかにミカンの取れたシメ繩゛が飾ってあった。



(こ……これいつのシメ縄やねん……。いま夏やぞ……笑)



こみ上げてくる笑いをグッと堪え、わしはインターホンをゆっくりと押した。