８９３〜ﾔｸｻﾞ〜

連れられた先は地元の小さな祭会場。

もちろん売る側になるのは初めてな訳で。



現地に着くとすでにテキ屋関係者でいっぱいやった。
スーツを着た怖そうなオッサン、それにわしとよく似た年頃の男達があちこちで屋台の準備に追われとった。



ふと見ると、テキ屋協会の班長的な風格のオッサンがショバ代を集めとった。



テキ屋界にはテキ屋界だけのきっちりとしたルールがある。
店を出す場所はあらかじめ抽選で決められていたり、タコ焼きはタコ焼き、かき氷はかき氷の決められた値段がある。

それ以上の値段やそれ以下の値段で売ってはいけないなど細かいルールが沢山ある。



わしはそんな無意味な知識を覚えながら、必死に慣れない手つきでタコ焼きを焼き始めた。