「なぁ……アイツ、大丈夫なのか?」


ややひきつった顔で、路地裏で一人猫と会話している海斗を見ながら呟いたのは、桧山彩都。


「さぁ……元々あのガキはよくわかんない奴だからな」


「確かに……」


隣でサングラスをかけたまま海斗を見つめる男の言葉に、彩都はこっくり頷いた。


すると、二人の視線に気付いたのか、海斗がぱっと振り返った。


「あ~っ!!彩都!ショウ!!」


大声である。


「うるさ……」


思わず耳を塞いだショウに、海斗はヒョイと足元のぶっさんを抱き上げ、突進するように向かってきた。


「ショーウ!ちょっと聞いて聞いて!」


「んな……」


あぁ、海斗、そんなに慌てて走ると危ないよー。


「おわっ!?」


『ふぎゃっ!!』


案の定、海斗が躓きました!
手の中のぶっさんが吹っ飛びます!
海斗はショウへ向かって前のめり。ぶっさんは彩都の顔に向かってダイブ!!


おいマジかよ?!勘弁してくれ!!


ひぃ~!!


ショウと彩都の心の声であります……。