螢と颯人の視線の先には確かに一組の男女。仲良さそうに某コーヒー店で向かい合って座っていた。


「うわー!やっぱりあの二人付き合ってるって噂、ホントだったのかなぁ!」


目をキラキラさせて話す螢の横顔を眺めながら、颯人はやっぱり邪なことを考えていた。


かっわいぃなぁ、おい。今すぐ食べちゃいたいくらいだ。


……思考が腐っている彼である。


「ね、颯人!俺握手してもらいたい!!」


「あ?マジで?」


露骨に嫌そうな顔をする颯人に、螢はここぞとばかりに甘えた声を出す。


「お願い、颯人ぉ~」


「う……わかったよ」


あぁ~、なんて顔すんだよコイツ!!反則!!


わーい!とスキップしそうな足取りで数メートル先のカフェへ向かう彼の後ろ姿を、颯人は軽い溜め息と共に見送った。


「あの笑顔には弱いなぁ、俺」