「ていうかさぁ、なんでオマエ女つくんないのさ?前の女と別れたのいつだよ、かなり昔な気がするけど」
ヤなこと聞くなぁコイツ。
タキは心にチクッと刺さったライの言葉に苦笑いで返す。
「俺はいいの。しばらくはバンドだけがいい。……余計なこと考えてる余裕ねぇし」
「……ふーん」
納得できていない様子で、けれどそれ以上は聞こうともせずにライは別の話題を口にした。
……気をきかせたみたいっすよ、ライ。案外いい子ですわぁ。
「そういえばさぁ、今日アイツらライブあるらしいじゃん、タキ行くの?」
「あぁ……アイツら?ん~一応誘われたんだけどさ、オマエも行く?」
冷たい指先をダウンジャケットのポケットへと突っ込みながら、タキはライの顔を覗き込む。その顔には期待の色が浮かんでいた。
行きたいなら素直に行きたいって言えばいいのに。
そう思いながらライは少し嫉妬していた。
ホント、タキのやつアイツの声気に入ってるよな……ムカつく。