「てかなんでクリスマスに男二人で歩いてんの、俺ら」
忌々しげに呟いたのは、明るく染めた薄茶の髪、アイドルみたいに甘いマスク。なのに口から出るのはガキんちょ並みの台詞が多いと評判(?)のライ。
言わずと知れたオリコン常連バンド“Crimson Scar”のボーカルである。
「仕方ないじゃん、オマエ今年は女にフられまくりで相手がいないんだから、俺が付き合ってやってんじゃん、感謝しろよ」
そう言ってライをつついて笑うのは、短めの髪を近頃黒く染め直し、彫りの深い顔をニヤニヤとさせるタキ。
因みに彼は見た目のわりにヘタレで有名。
「うるせっ!あんな女どもどうだっていいんだよ別に!ただオマエとこんなカップルばっかの街中を歩いてることが嫌なんだ!!」
「オマエ……昨日の夜中に酔って泣きついて来たの誰だと思ってんだよ!?」
タキが呆れた顔でライを見下ろすと。
「うっ……だってアレは……お、覚えてねぇし」
急にもごもごと口を尖らせるライの顔はどう見たってガキである。
しっかしこの顔でどれだけ得をしてきたかは計り知れないんですけどねー。