「登、登起きてよ」
「んー……ん?あ、葵さんだぁ」
眠そうな声で答えた登は目をこすりながら自分を覗き込んでいる彼女の顔を見て、へにゃ、と柔らかな笑顔になった。
普段めったに笑わない彼、沢口登が素直な笑顔を見せるのは今付き合っている一つ年上の羽田葵にだけ。
「大丈夫?疲れてんのか?」
葵が心配そうに彼の顔を覗き込むと、うたた寝してしまったソファから体を起こして登はごめんね、と呟いた。
「最近塾行き始めたら夜遅くて。僕も葵さんと一緒の大学行きたいから、もっと勉強しなきゃね」
因みに葵はスポーツだけじゃなく、勉強もトップクラスだったりするのだ。1年の時、学校をサボりまくっていた登は2年生になった今、葵に追いつこうと進学塾に行き始めていた。
けなげだな~。
「可愛いヤツ」
ふっと口元を弛めた葵は、まだ少し眠そうな登の唇に軽いキスを落とす。
「葵さん!!」
途端に頬を染める彼が可愛くて、葵はいつも不意打ちでキスをするのだった。
あー、冬なのに暑苦しくありませんか?皆さん!