なんと説明していいやら、彼は上から下まで完璧な女装だった。しかもロリータ。さらに付け加えるならゴシックロリータ!!
ヘッドドレスに始まり、黒と白で統一されたヒラヒラの服は足元の黒い編み上げブーツまで、隙がなく完璧。しかも手には黒地にどピンクのドット柄のウサギのぬいぐるみを抱いて。
かな~り美少女に出来上がっていたりする。
……作者、いっぺん死んでこい。
マキは即座に思った。
「その格好に意味はあるのか?今回の依頼は……」
「はいはいはい、小言は聞き飽きたからね、はい!マキちゃんもこれに着替えて準備よろしく~」
そう言ってアトミヤはマキの手に洋服一式をポンと乗せた。
「これは……おい!アトミヤ!!俺はこんなの着るのごめんだぞ!!だいたいお前がこの格好するって」
「んも~、マキちゃんウルサいから寝ててちょーだい」
「な!う……あと、み……」
やられた!なんかまたしてもやられた!絶対にこの後目が醒めたら大変な状態になってるに違いな───。
うん、マキちゃんの思考停止。
アトミヤはニンマリと笑みを浮かべて手にしていた小型スプレーをしげしげと眺めた。
「いや~、期待以上に効くわ、これ!」
“痴漢撃退睡眠スプレー”
そうか、マキちゃんは痴漢だったのか!
って違うわっ!!