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「先生・・・分かりません」

「んー・・・どこだ??」


先生がその問題を見るために、あたしの近くに顔を寄せる。

煙草のニオイがする。

明るい茶髪の髪が、サラサラと眼鏡にかかっている。

心臓が鼓動を早める。

改めて大人だって思う瞬間だ。


「お前なァ・・・こんな問題解けなくてどーすんだよ。マジで頑張らないとヤバいよ? マジだよ? 先生嘘つかないもん」

「あたしだって既に頑張ってます!! ・・・じゃあ先生、今度のテストで80点台取れたら・・・好きな人教えてくれますかっ!?」


目をキラキラさせて言う。



「はい!? アンタついに頭いっちゃいましたかー!?」


「大丈夫ですっ!!  先生が教えてくれるなら、あたしもっと勉強頑張ります!!」


「・・・しゃーねーな・・・。そうすれば80点台取ってくれんだろーな?? 絶対だぞ」


「よっしゃー!!  やる気出てきましたァァァ!!!」


「・・・単純な奴だな・・・」



困ったように頭を掻きながら先生がボソリと呟いた。



「ん?? 何か言いました??」

「何もねーよ。・・・今日はこれで終わってやっから、明後日のテストせいぜい頑張れな」

「はいっ」


あたしは元気よく返事して、補修を終えた。