「どの様に知ったの?」

「先生がギックリ腰になって
運ばれた病院で見てもらって、
先生が偶々診察に訪れていて
会ってしまったの。」

「同じマンションなのに、
どうして知っているの?」

「隣同士なんだ。
引越しをしてから、
挨拶に先生が訪れた。」

「始業式の日には?」

「その日の晩に会った。」

「静?
先生の事好きでしょう?」

「うん。
けど先生の心の中に、
亡くなった奥さんがいる。」

「亡くなった?」

「うん。
5年前に乳がんで奥さんを
亡くしているんだ。

だから私の悲しみを
知ってはいるよ。

だから一緒に戦おうと
言われたけど断った。」

私は涙が押え切れずに、
流れ出してきた。