「先生。さようなら。」

私は出て行こうと、
した時、
先生に抱きしめられた。

「行くな!!
俺の傍にいてくれ!!」

「無理だよ。」

「だったら、
教師として傍にいさせて
欲しい。」

「どっちも無理だよ。
私は先生を諦めた。

だから離して欲しい。
これ以上いると、
先生を諦めるのが辛い。」

「俺の方が辛い。
家内を乳がんで亡くし、
生徒である君を、
これ以上辛い思いを
したくないんだ。」

「だったら。」

「お前が好きなんだ。
生きて帰って欲しい。
一緒にガンと戦おう。」

私は先生の言葉を、
信用したらいいのか分からない。

親に捨てられ、
この若さで乳がんになった。

絶望の淵に立たされている
私が頼りに出来るのは、
先生しかいなかった。

けどどうすればいいのか、
自分でも分からない。