問題アリ No.3
『優しいピエロ』





「そんなに暇なら、外にでも行かれれば良いでしょう!」



何度目かの『暇』という言葉を聞いたエレンは、とうとう怒った。


長年一緒に居るとはいえ、一日にそう何度も何度も『暇』だと言われれば若干の苛立ちを覚える。


特にエレンの場合は気難しく気が強いので、一緒にいるのに『暇』だと言われたら自分と一緒にいてもつまらない、だとか、使えない、だとか、そんな風に捉えてしまいがちなのである。


対してエレンを此処まで怒らせた『暇』と言う言葉を発した根源、フィンは突然怒られて思わず硬く目を閉じ、首を竦める。


もうすぐで寝転がっていた長椅子から墜落するところだった。


恐る恐る目を開けると目の前の祭壇には毛をブワッと膨らませたエレンが怒気を含む目でフィンを睨んでいた。


女って、面倒くさい。



「ご…ごめんってエレン。口癖みたいなもんでさ」



流石のフィンもタジタジだ。


どこか姉のようなポジションのエレンに、フィンは頭が上がらないのである。怒られると特に。


男同士ならなんの気兼ねもなく馬鹿騒ぎをしたり、嫌味を言ったりちょっと本気で殴り合いの喧嘩をしたりもできるのだが。


基本的に女の扱いが苦手なのである。…いや、エレンが特別なのかもしれない。


フィンの謝罪を聞いてもエレンの気持ちは収まることはなく、フン!とそっぽを向くと一回転して祭壇から飛び降りると人型へと変化して懺悔室へと入ると乱暴に扉を閉めた。


入るな、と言う事なのだろう。