「ひ、…ぃ…」



振りかざして、硬く硬く目を閉じて、突き刺す。


先ほどと同じゴリッ、と触れた確かな、塊。


先ほどはなかった激痛。



「ぎゃあああああああ!!」



恐ろしいほどの血液が痛みに痙攣を起こす手の平へと垂れ流れては絨毯へと落ちる。


叫び、叫び、ながら、もう一度、もう一度、瓶を、割れた瓶の、尖るその先端を、何度も、千切れるまで、ガツ、ガツ、ガツ、ガツと、何度も、何度も。


神経が、血管が、筋肉が、骨が、筋が、おぞましい音と気を失いそうになるほどの痛みを伴いながら、裂ける。


ブラン、と外れたその手首からは筋が、ブラブラと揺れていて、強く引っ張られる手錠が、まだ引っ付いている皮膚と、骨の間に挟まり、銀のそれが赤く光る。


最後の一振りで、皮膚が千切れて、左の手は丸ごと、ベッドの下に食べられた。


そうして、逃げようとした、瞬間。


足首を、それが捕らえて、片手のない人間では身体を支えきれず、抗うことも、出来ず。


一筋の赤い線をベッドの下へと引いて。そのまま。






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