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「ホントに行っちゃうのかな……」



搭乗手続きをしている流川をロビーで待ちながら、私はため息をついた。



「なんか……現実味がないんだよね」



出発日を聞いたのが一昨日で。


慌ただしくしている流川をぼんやり眺めていたらもう今日で。



「……い」


「……」


「おい」


「……あ、おかえり」



……。おかえりって。


これから行く人を前にしておかえりって。



「なんだよ、ぼうっとして」


「終わったの? 手続き」


「ああ」


「そっか……。やっぱり、現実なんだ」


「ん?」


「ううん。なんでも。……みんな楽しそうだね」


「……だな」



私たちみたいに、今日から冬休みに入る学生も多いんだろうな。


ロビーには、同年代のグループやカップルもたくさんいて。


みんな、上機嫌で。



「呪いたい……」


「暗いぞ、お前の周りだけ」


「だってさ、」



ホントなら今ごろ、ワクワクしながら色んな予定を立ててたはずなのに。



「あの……」


「ん?」


「……なんでもない」



ここまで来て、言えないや。


寂しいなんて。


……行かないで、なんて。