彼女は、おれを失う。 おれは、彼女を失う。 離れ離れになるだけならまだいい、 いつかまた交わる可能性があるのだから。 でももう、けして交わらないのだ。 雨は、生きてく。 おれは、死んでく。 もう一度、雨を抱きしめた。 雨を守らなければと思った。 雨を生かさなければと思った。 だから、聞こえないように呟いた。 「さよなら」 雪が、降り出したのを見ながら いつまでも雨の髪を撫でていた。