幼なじみセンチメートル

イノリとは無言になっても、その空気が心地良い。




今更、気を遣う仲でもないし。




「はぁ〜…何も変わり映えのしない休日だな。カゼ達は何してんだろ」

「どうせ部活だろ。ケンは昼過ぎまで寝てるだろうし」



ケンも誘ってあげれば良かったかな。




「イノリは私と2人が好きなんだね」

「そういう事にしとけよ」




そこは否定してくれないと変な期待しちゃうよ、バカ。


否定されてもムカつくけど。





「…じゃあ、夏休みに私が10日間いなくなったら寂しい?」


「は?10日間?何処行くんだよ」


「養護施設のボランティア。泊まり込みで募集してるんだって。それをお母さんに将来の為に参加しろって言われてさ」


「それでさっき言い争ってたんだな」



だって将来がどーの、進路がどーのって言われたって


私でさえ分からない未来を

どうしろって言うのよ。





「お前こそ大丈夫なのかよ」

「何が?」

「10日間も俺無しで」

「ん―…」




生まれてこのかた、10日も離れた事ないしなぁ。


どうなるんだろう、私。




「…いなくなるなよ、10日も。つまんねぇじゃん」

「つまんねぇって何が」

「キヨがいないと俺がつまんねぇんだよ」



イノリの鋭い目が私を捕らえる。




「お前の将来の為なら邪魔をするつもりはねぇけど、まだ先を見なくてもいいんじゃね?俺らまだ高2だぞ?」



私は保育士になりたいワケじゃないよ。


幼稚園の先生とか素敵な職業だと思うけど

私の将来の夢は昔から決まってるの。



それはね…




「…先を歩くな。隣りを歩け」



イノリは私の頬を両手で掴むと、額に額を寄せた。





彼女にする気なんかないクセに。

恋人関係になるつもりなんかないクセに。




そのセリフは、狡い。