雑誌でアイツの頭を叩いた。

バシッ!

「イタッ!」

「お前の大声の方がイタイ」

「かっ家族はみんな出掛けているから、大丈夫だって」

「…そういう問題じゃねーよ」

再び雑誌を広げて、見る。

アイツはしょぼくれて、落ち込む。

…叱られた犬が、耳や尻尾を垂れさせている姿とかぶる。

「じゃあ…何でキスさせてくれるんだよ?」

「…お前がしたいって言い出したから」

中学に入ってすぐ、こんな風に二人きりの時に、コイツから言い出した。

俺とキスしたい―って。

別にイヤじゃなかったら…キスした。

そして今までも。