recollectionⅡ‐遠い音‐




ちょっとの間、
立っていたら


「――久し振りです」

そんな、声がした。

何も言わず
声の主を見る。

「…あ」

頭が言葉を忘れた。


「和奏」


髪型は、少し

変わっていたけれど

それは

「先生」

山瀬、だった。


「きてくれたんですか」

そう言う先生の顔が
嬉しそうに見えるのは、
多分私の過剰な錯覚だ。

「はい」

そう言って、一礼した。

感情も言葉も消えて、
先生の言葉が耳に届くと
自然と口から出てきた声。