recollectionⅡ‐遠い音‐




真ん中に立つのは、指揮者。

――…山瀬…。

私はいよいよ、我慢ができなくなりそうだった。

なんで僕は吹けないの。

自分が音楽を選ばなかっただけなのに。
後悔、嫉妬、羨望、期待。
感情が渦を巻く。

それでも私が
笑っていられるのは、

舞台に立つ彼女たちが
好きだったからだと思う。

けど複雑な気持ちで
私は「聴いた」。

へぇ、一年生すごいなぁ。
紗織ソロ吹いてんなぁ。
大夢、確かにトランペットとホルンやってんな。


――…みんなは、進歩してるんだなぁ…。