recollectionⅡ‐遠い音‐




可愛いらしい物語だった。

しばらく色々な作品に目を通してから――

「そろそろ行こう。演奏の時間近いよ」

怜佳が言った。

「そうだね」

私は頷く。


スリッパの
ぺっこぺっこという足音を連れ
体育館へ向かった。

しばらくすると
楽器を用意する音が
幕のおりた舞台から聞こえた。

その幕の裏側に
自分がいないこと、悲しくなる。

それを悟られるのが嫌で
デジカメを構える怜佳に笑い掛けた。