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校内は、変わっていなかった。
当たり前、なのだが
つい笑みが零れる。
「どうですか、怜佳」
「…うぅむ」
なんとも言えない反応だ。
「じゃあ話に聞く2年生作製の絵本でも見に」
そう言って私は
美術の作品展示した部屋へ案内する。
まだ、校内を覚えてる。
静かな感動だ。
「こちらこちら」
その部屋に入ると、
たくさんの絵本が
机に並べられていた。
壁には、
額縁に入れられた生徒作品。
「…見るか」
適当に手にとり、
パラパラと少ないページの
絵本を読む。
「僕らも部活で絵本作ったけどさ、個性でるよね」
紗織の絵本の表紙を見て、
笑いながら言う。
「そうだよねー。ウチわかちゃんの絵本好きだよ」
別の絵本を読みながら
怜佳がサラリと言った。
「可愛いこと言うなぁ。僕も怜佳大好きっ」
「うざい」
あっさり言われた。
くっくっと笑いながら
私は紗織の絵本を読んだ。
題名、クリスマス。



