君に初めて会った日のことは、あまり覚えていない。

もう10年以上前。

高校生になったばかりの君が生徒会室にやってきた時だと思う。


垢抜けてない、普通の女の子。

機転がきく、話のわかる女の子。

ノリが良くておもしろいおしゃべりな女の子。

時々、悲しげな眼差しで、俺の同級生を見つめていた女の子。


それが君だ。

君が恋してることも、その焦がれている相手が、君と仲良しの俺の同級生に恋していて、振られても諦めていないことも、みんな知っていた。

君が初めて生徒会室なんていい堅苦しい部屋にやってきたのも、あいつにたどり着く為だったんだろう。