アイツとコイツは許嫁。



「いつものこと・・・って言ったって、何か派手にキレてたし・・・」


短気なのです、摩央は。


「それに俺、原因かもしれないし・・・」


いかにも『言いづらいです』を主張するように視線をちらつかせながら言う、水樹さん。


「まあ、そこは否めませんけれども」


そう言うと水樹さんは、


「ははは・・・」


と言って肩を落としました。


「本当に気にしないで下さい。そのうち元のように戻ります」


・・・そうなんでしょうか。


水樹さんにはそう言ったものの、あんまり自身はないですわ。


摩央は頑固ですし、わたくしだって謝るつもりなんかありません。


・・・いいえ、時が必ず解決してくれるでしょう。


不本意ですが、もう神頼みですわ。


「そういえば琥珀ちゃん」


・・・まだ何かあるのでしょうか。


「今日は高見沢と一緒に来てないの?」


「いいえ、玄関まで一緒でしたわ。あの男は途中で櫻井さんの元へ行きました」


・・・というか、


「水樹さんまで『わたくしとあの男がセットです』、みたいな事をいいますのね?」


冷たく言うと水樹さんは、


「違うって!むしろ一緒に来てないほうがいいよ!」


慌てて言いました。


ていうか最後の言葉は何ですか?


わたくしは1匹狼の方が似合う、そういうことですか?