ガラッ
教室に入った瞬間、視線が集まります。
もう馴れっこですわ。
そんなにわたくしが目立ちますか?
そんなにわたくしのことを注目する必要がありますか?
さっきから変なことを考えていたこともあり、余計イライラします。
もう大声を出したい気分ですわ。
「ねえ、高見沢君が来てから東宮さんが一人で学校来るの、初めてじゃない?」
耳に入ってきた言葉に笑いが込み上げてきます。
なぜあのような男とわたくしをセットに考えるのか、理解に苦しみますわ。
声のした方を睨んでやりました。
睨まれた女子生徒はびくびくしながらまた近くの人と話し出しました。
きっと他のところでも同じようなことが言われているのでしょう。
そんなことを思いながら、席に着いた時、
「琥珀ちゃん!」
水樹さんが何やら心配そうな顔をして駆け寄ってきました。
・・・何かあったのでしょうか?
「どうしたんですか?」
水樹さんは何だかばつの悪そうな顔をして、恐る恐ると言った感じで口を開きました。
「あー、っとさ?昨日は、何か・・・ごめんね?」
そんな事ですか。
「気にしないでください。いつものことです」
本当は結構、大惨事なのですけれども。



