アイツとコイツは許嫁。



勇ましく敵に向かって行くべきです!


それに、どうせ取ったり取られたりするのはわたくしなのですから。


あなた達が億劫になる必要はないのでは?


「そんな事言われてもー・・・。取られないだけいいじゃんー・・・」


わたくしを担いでいる右の人が、自信なさそうに呟きました。


何て引き腰なのでしょう!


「何言ってるんですか!このわたくしが逃げるだけなんて恥を感じます!」


そうですわ!


それに摩央にそんな姿見せたら馬鹿にされます!


・・・摩央?


なぜ摩央が出てくるのですか。


わたくしは摩央のために頑張っているのですか?


・・・そんなまさか。


ふと人ごみの向こうの摩央に目をやろうとすると、


「なっ!動いてるのはうちらなのに、偉そうにそんな事言わないで下さいよー!」


左の人に文句を言われました。


別に偉そうにはしてませんわ。


ってこんな所でそんな事言ってる場合じゃありません!


「あなた達!右、右から来てますわよ!」


焦って指示を出します。


そして、返ってきたのは意外な返事でした。