アイツとコイツは許嫁。



わたくし達のクラスの男子は、勢い勝ちしました。


摩央やその大将の迫力に負けて逃げ出す組が、片手の指では足りないくらいいました。


そして次はわたくし達の番です。


何気なく摩央の方を見てみると、大将の人を胴上げしていました。


やっぱり摩央は、その人達の前では笑うのですね。


子どものような、その容姿にはおよそ似つかわしくない屈託のない笑顔で。


「琥珀ちゃん!みんなもう行ってるよ!」


水樹さんにそう言われ、ハッとしました。


わたくし、何てことを考えていたのでしょう!


周りを見てみると、クラスの女子達は入場門に向かっていました。


「頑張ってねー!」


水樹さんの声に見送られながら、入場門目指して走りました。


・・・スタンバイし終えた時に思ったのですけど。


「・・・何でわたくしは担がれているのでしょう?」


こんなの説明されていませんわ。


いつ決まったのでしょう?


「えっ・・・。でも、東宮さんって担がれる人っぽいから・・・!」


わたくしを担いでいる人の内の1人がそう言いました。


担がれる人って何ですか。


まあ、担ぐよりは幾分かいいですけど。


「バッカ!そんな事言ったら怒られるよ!」


ともう1人が小声で言いました。


・・・丸聞こえですわ。


というかわたくしはそんなに心が狭い者ではありません。