「会長、今朝のご挨拶ですが」
窓の側に突っ立ったままの私が不思議だったのか、斑鳩は躊躇いがちに言葉を発する。
振り返ると、私のすぐ真後ろに彼は立っていた。
「ああ、大丈夫。新入生向けの挨拶でしょう? 昨夜適当に考えておいたから」
その顔を見上げながら私が答えても、表情は変わらない。
面倒な女だと思われているのかもしれないし、適当に何でもしてしまう馬鹿な女だと思われているのかもしれないし。
それは別にどうでも良かった。
私は、私だ。
「何故」
ふふ、とちょっとだけ笑ってしまうと斑鳩が珍しく眉根を寄せた。
「なに?」
「何故、そのような顔をするのですか」
聞き返してみると、不思議なことを言う。
よくわからない、と私も眉を寄せると、今度は斑鳩の表情が悲しみを携えたように思えた。
「どう思われても構わない、と思っていますか? 他人に笑われようと蔑まされようと」
「え?」
「他人からの評価など気にしない。それは立派なことです。それでも、貴方の瞳は前向きにではなく、後ろばかりを見ているような気がします」
窓の側に突っ立ったままの私が不思議だったのか、斑鳩は躊躇いがちに言葉を発する。
振り返ると、私のすぐ真後ろに彼は立っていた。
「ああ、大丈夫。新入生向けの挨拶でしょう? 昨夜適当に考えておいたから」
その顔を見上げながら私が答えても、表情は変わらない。
面倒な女だと思われているのかもしれないし、適当に何でもしてしまう馬鹿な女だと思われているのかもしれないし。
それは別にどうでも良かった。
私は、私だ。
「何故」
ふふ、とちょっとだけ笑ってしまうと斑鳩が珍しく眉根を寄せた。
「なに?」
「何故、そのような顔をするのですか」
聞き返してみると、不思議なことを言う。
よくわからない、と私も眉を寄せると、今度は斑鳩の表情が悲しみを携えたように思えた。
「どう思われても構わない、と思っていますか? 他人に笑われようと蔑まされようと」
「え?」
「他人からの評価など気にしない。それは立派なことです。それでも、貴方の瞳は前向きにではなく、後ろばかりを見ているような気がします」