もう、どうしてこうなったかなんてどうでもいい。

お互いが、性欲の捌け口としてこんな関係を続けているわけではないことがわかっていれば、それで充分だった。

 
血の繋がった兄妹で、セックスをし始めてもう三年になる。
五つ年上の兄は、昔はそれなりに恋人もいたのだろう。
聞いたことは無かったが、私を抱いたとき初めてではなかった。

 
私は、兄しか知らない。

あのときから、毎晩のように兄の部屋に通い、二人だけの時間を過ごしてきた。
この三年、兄に恋人がいたことはない。


 
お互いに、相手しかいなかった。


 
兄の優しい指先が、私の髪を梳き、そしてくしゃくしゃにかき回す。
それが兄の癖だと、私はもうわかり切っている。


それでも、それが私の感情を揺らし、だらしないぐらいに快楽を運んでくるのだ。

 
どこか狂っているのかもしれない。
実の兄相手に股を開いている私なんて、堕落した女なのかもしれない。

 
これこそ、狂宴の一部なのかもしれない。



でも、ここが唯一の逃げ口だった。
どこにもゆくことの出来ない私の、精神の拠り所だった。



美しい顔は、今や私にしか見せない苦痛と恍惚の表情を見せる。
だから私も、素直な感情を顔に出すことが出来る。