まだそれは、桜が散り始めたばかりの季節。


校庭に咲き誇っていた桜は、その栄華を極め、また風に吹かれては散りゆく姿を人々の心に焼き付けてゆく。


ただ私の心には虚しさを刻み付けるばかり。



あの桜の花びらのように、無残にも散ってゆけたらどれだけ良いだろう。
人々は皆枝に咲き誇る花を見上げ、風に舞った花びらを踏みつけてゆく。



私は、永遠に散ることの出来ない桜のようだ。


散らねば、その美しさも儚さも、全てが無意味。



これだけ、穢れた桜がどこに咲いているのだろうか。


私はただ、風に揉まれてどこか違うところに飛んでゆきたいのに。