「殺しに違いは無い。だが、命には違いがある」

 目を細め、噛みしめるようにつぶやいた。

「ベリル……」

 目を伏せている彼にゆっくり近づく。

 彼は無表情に死体を見つめているが、心の中で泣いている……レオンはそう感じた。

「命の……違い」

「本来ならばあってはならない」

 だが、この男を生かしておく価値などあるだろうか。

 金のために罪もない人々を殺めていくこの男の命は、そんな人々と同じだといえるだろうか。

「もしも命も同じように回っているのだとするならば、この男の命は別の誰かに受け継がれる」

 そう思いたい。