「いくら死なないと言っても、動きを止めることは出来るよなぁ」

 男は懐からナイフを取り出した。

「ソファの後ろへ」

「わかった」

 起伏無い物言いに従い、青年はソファの背に身を隠す。

それを尻目に確認し、ジーンズの裾からナイフを取り出した。

「……ベリル」

 さっき撃たれたばかりなのに……青年はそっとのぞき込み、彼の背中に苦い表情を浮かべる。

 カシアスという男も、それを見越して闘いを挑んでいるに違いない。

いくら強いと言ってもベリルは回復したばかりだ、しかも体格差からいってカシアスが有利なのは明らかだろう。

 しばらく見合っていたが、先にカシアスが素早く近づくとナイフを走らせた。