何故、彼がわざわざレオン皇子の処にいるのかというと……

「いい加減にしろ。依頼も無いのにひっきりなしにオファーの電話をかけおって」

 高級ソファに腰掛けて足を組み、握られていない左側で片肘をついてその上に頭を乗せる。

 黒髪と漆黒の瞳は、そんなベリルを捉えて離さない。

 金のショートヘアとエメラルドの瞳は、整った中性的な容姿に相応しく見た者を魅了する。

 細身だが、引き締まった体は見た目の想像とは異なり筋肉質だ。

 傭兵であるベリルは、携帯にかかってくる依頼を受けて仕事をこなす。

 しかし、その携帯に四六時中レオン皇子から電話がかかってくる。

 彼は、その抗議のためフォシエントに訪れたという訳だ。