「大丈夫?」

 小さく唸りを上げてベッドに横たわるベリルに声をかける。

 逃げた侵入者は、城の者たちが引き続き追ってはくれるが油断はならない。

「……」

 心配そうに見下ろしている青年を一瞥し、溜息を吐き出す。

「痛みには慣れているが消えるものではないな」

「当り前だよっ! 俺のために……」

 この量は危険なんじゃないだろうか……胸の血に眉をひそめる。

 大丈夫だとは言われても、赤く染まっている胸元は青年を不安にさせた。