「私は帰らせてもらう」

「! ベリル」

 引き留めようとベリルの右腕を掴んだ刹那──

「!? ベリル!?」

 ガクンと折れるように彼が片膝を付いた。その顔は痛みに歪んでいる。

 まさか弾が当たったんじゃ!?

「早く医者を!」

「! だめだ」

 医者を呼びに行こうとしたレオンの腕を掴んで制止した。

「なんで……っ!?」

 そうしている間にも胸の辺りがみるみる血でにじみ、苦い表情のベリルと胸を交互に見やる。

「死んじゃうよ……」

「死にはしない。少し、休ませてくれないか」

 今にも泣き出しそうな青年に笑みを浮かべた。

「こ、こっち」

 震える声で彼を寝室に案内した。