「チッ」

 持っていた男の武器を蹴りで弾くと、舌打ちをして逃げていった。

「ふむ……」

 小さく溜息を吐いて、ハンドガンをゆっくり拾う。

「皇子! お怪我はっ!?」

 それから、ようやく衛兵が駆けつけた。

 その衛兵にハンドガンを手渡して、再び小さく溜息を漏らす。

「……ベリル」

「どこの国にも、ああいう手合いはいるものだな」

 駆け寄ったレオンにつぶやき、震えているレオナに近づく。

「心配ない。もう誰もおらんよ」

「怖かったわ」

「部屋に戻って少し眠った方が良い」

 抱きつこうとした彼女に優しく発した。

「そうね」

 足取り重く部屋から出て行く。