* * *


「なぁ夏樹」


「うん?」


授業中、後ろの席から声を掛けられ振り返った。


「お前さ【桂 香歩】先輩って知ってるよな?」


桂 香歩。香歩さんの事だ。


「何だよいきなり」


カツカツと黒板にチョークを打ち付ける音が教室に鳴り響く。


授業中だと言うのもあっておのずと声は小さくなる。


「いやさ、桂先輩ってさ美人じゃん?」


「まぁ綺麗だとは思うけど」


それが何だと言うのか。…なんとなく予想はつくけれど。


「先輩と仲良いんだろ?夏樹。紹介してくんね?」


やっぱり。


正直、予想通り過ぎる。


「やめておいたほうがいいと思う」