そして返しで打つのは3四歩。なはずだけど今回は多少違った。


8四歩。飛車先の歩だ。


いつもなら角交換の流れに付き合ってくれるのだけど、先に棒銀を決める気か。


次の手は6六歩。


香歩さんは構わず歩をまた一歩前に進める。


「香歩さん」


返事はなく、僕はいつも通り四間飛車の構えを構築する。


「一つ聞いてもいいですか?」


後方に構える銀を押し上げながら香歩さんは僕を見る。


「僕は、香歩さんにとってどういう存在なんでしょう」


6八飛。四間飛車の完成。


けれど香歩さんは急戦を仕掛けている。ここから何度も辛酸を舐め続けてる僕だ。


ここからが勝負。


「前に言ったでしょ。あなたは私の対戦相手」