「・・・へぇ、元彼と俺の自転車が一緒だったと。だから急に隠れたんだ。」


 
 叫んだ後、我に返った私は思わず自転車にのって逃げようとしたけどあいにく自転車はパンク中で、自転車を押したまま走るなんてこととてもじゃないけど私はできない。


 それに同じく自転車を押していた人も幸いなことに元彼ではなかったし。



「ていうか確か学校同じじゃない?俺とアンタ。」


 そう言われて気がついた。

 クラスこそ違うものの、廊下とかで何回かこの人の顔を見たことがあることに。



「何年?1年?2年?」

「3年じゃ、ボケ。しかもそこまで小さくないし、私。」

「あぁ、俺が高いだけか。ごめんね、180近くあるもんだから。」

「うわ、うっざ。」



 そこで相手も何で自転車を押してるかということに気がついた。


「てかアンタなんで自転車押してんの?ここ坂でもないのに。」


 ・・・相手も同じことを考えていたみたいだった。