神藤くんのことは何も知らない。 あたしが知ってるのは、彼の唇の感触だけなんだ…。 その事実に、なぜか、ガク然とした気分になった。 「元気だしてね」 柏木さんに励ましの言葉をおくると、自分の席に向かった。 どうしてだろう。 今の励ましの言葉を自分にも言ってあげたい…。 放課後になって、あたしは神藤くんを探していた。 今日は血をあげる日。 それなのに、彼の姿が教室になかった。