「殴るって…………何で?意味わかんないんだけど………」


頼兎が凍りついた表情でボクの顔を見つめる。


何故と聞かれてボクは、何でって………と淡く笑った。


「ボクが生き残ったからだよ。愛したお母さんじゃなくて、お母さん似の桃亜姉でもない、ボクが無傷で生き残ったから」


唖然の次は茫然だ。


「意味分からん」


そう呟く頼兎に「意味わかんなくてもそうなんだよ」と強引に納得させてボクは話を続ける事にした。


「学校にも行かせて貰え無くなって、思い出から逃げるようにお父さんは家を売ってボク達は知らない街に引っ越した。その頃からお父さんは夜にボク部屋に来るようになった。8歳の誕生日からだったから間違いないよ。その頃には感情も無くなってて何も感じなくなってたけど、さすがに最初は嫌がってたかな。物凄く痛かったし、行為の意味が分からないなりになんとなく『おかしい』って事は分かってたから」


「で、10歳の時にお父さんが再婚した。顔だけはお母さん似の子連れのキャバ嬢と。」


「子連れ…………」


「そ。それが夕妃。」


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