馬鹿ばかしい。

いつもなら一蹴できるのに今日ばかりは思考がマイナス方向だ。

ぐっちゃぐちゃでごちゃごちゃな自分の思考に多少の困惑と苛立ちを感じつつふと顔を上げると波狼と目があった。

黄金色の瞳が一瞬、動揺に波打ち、慌てて逸らされる。

コンマ一秒、思考が止まる。

今の表情、なに。

まさかコイツ・・・・・!

と思った瞬間には身体が勝手に動いていた。


「・・・・・・・ハロ。
今、ボクをみて目を逸らしただろ」


ザッとブーツを鳴らして波狼の目の前に立ったボクは目尻を吊り上げて詰問する。


「ハロ、何があった?
誰に逢った?」


「・・・別に、誰とも逢ってねえよ」


目を合わそうともせずに、波狼は固い口調でぽつりと呟いた。

誰がみても分かる。

下手な嘘に、神経が逆立つ。

分かってて聞いてるんだから正直に言えば良いものを・・・!!!と心が理不尽な怒りに燃える。

理不尽・・・・なんて、この時のボクは気付いていないけど。


「ハロ、お前は何を隠してんの。」


「・・・・・・・・・・別に」


「隠しても無駄。匂いがするからね」



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