重い頭を持ち上げてみれば、周りを舞う蝶よりも一回りほど大きな二匹の蝶がど派手なチラシをもって桃亜姉の目の前に浮いていた。

この温もりある静穏な場所には似合わないど派手なチラシ。

デカデカと書かれた文字は『HalloweeeeeeeN!!』。

・・・というか、それだけしか書かれていない。


「はろうぃーーーーーーーーーーん??」


「桃亜姉、ハロウィーンだよ。・・・ていうか、もうそんな時期だったのか。」


思い切りひらがな読みで首を傾げる桃亜姉に苦笑しながら突っ込んで、ど派手なチラシを受け取った。

ゲームの中にいると、時間の流れなんてどうでもよくなるからすっかり忘れていた。

イベント事は基本大好きだ。大好きだけど・・・。

口元に淡い笑みを浮かべて「行くの?」と尋ねてくる桃亜姉にボクはふるふると首を振った。


「二人に合わせる顔がないもん。」


「二人??うーさんだけじゃないの??」


「あー。最近一人増えたの」


「そっか。」

きょとんと眼を丸くするのに適当に返事をして、ボクは桃亜姉の細い腰に両腕を回して頭を膝の上に乗せた。

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