あなたはいつもそうだ…



決して他人に弱い部分を見せてくれない…



もちろん…俺にも…



「姫…」



そんなに無理をしないでください…



「あなたには、もっとずっと素敵な方がいらっしゃる」



今の俺の素直な気持ちを、俺は姫に告げた。



と、突然姫の華奢な腕が俺の体にしがみついてきた。



「ヴェネットッ…」



目の前で泣きじゃくる姫の小さな体に、俺はそっと触れた。



抱きしめようと思えばすぐにでもできるのに…



ふと頭に浮かんだ自分の愚かな考えを振り払うように、俺はずっと姫の背中をさすっていた…